空き家問題の新制度とは?2026年の法改正・税制・支援策を解説
空き家問題の新制度は、危険な空き家への対応を早める仕組みと、まだ使える建物の管理・活用を支える仕組みを組み合わせたものです。2023年12月の改正空家等対策法で導入された「管理不全空家等」や支援法人制度に加え、2026年には登記制度の変更や支援法人の対象拡大も進んでいます。
空き家の所有者にとっては、管理の負担、固定資産税、売却時の税制、修繕や解体の費用が気になるところです。建設会社や設計事務所も、建物の状態に応じた提案を行うために、制度ごとの対象と期限を把握しておく必要があります。この記事では、2026年現在の法改正と支援策を、実務で確認すべき点とともに整理します。
制度確認日:2026年10月13日。補助制度の受付状況や個別の税務・登記の適用は、所在地の自治体、税務署、法務局などの窓口で確認してください。

空き家問題と法改正の背景
全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%
総務省の2023年住宅・土地統計調査の確報では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・最高となりました。この数字には賃貸用、売却用、別荘なども含まれ、すべてが放置された危険な空き家ではありません。賃貸・売却用と二次的住宅を除く空き家は385万6千戸です。出典:総務省統計局の調査結果。
人口減少や高齢化に加え、相続後の方針が決まらないこと、家財の整理が進まないこと、遠方に住む所有者が管理できないことなどが、空き家の長期化につながります。屋根や外壁の劣化、庭木の繁茂、防犯面の不安が積み重なると、所有者だけでなく近隣の生活環境にも影響が及びます。
2023年の制度導入と2026年の変更を区別する
「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、一般に空家法や空家等対策法と呼ばれます。2023年12月13日施行の改正では、危険な状態になる前の管理と空き家の活用を強化しました。2026年に新設された制度と混同せず、施行時期を確認しましょう。法令・指針は国土交通省の関連情報ページで確認できます。
| 時期 | 主な制度・変更 |
|---|---|
| 2023年12月13日 | 管理不全空家等、空家等管理活用支援法人、空家等活用促進区域などを導入 |
| 2024年4月1日 | 相続登記の申請義務化が開始 |
| 2026年4月1日 | 不動産所有者の住所・氏名等の変更登記が義務化 |
| 2026年9月3日 | 商工会議所等の非営利法人も空家等管理活用支援法人に指定できるよう対象を拡大 |
管理不全空家等とは?特定空家等との違い
管理不全空家等とは、適切に管理されず、このまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等です。すでに著しい危険や衛生上の問題などがある段階まで待たず、市区町村が所有者等へ指導し、改善が見られない場合には勧告できるようになりました。
特定空家等は、倒壊などの保安上の危険、著しい衛生上の有害、管理不足による著しい景観の悪化などがあると認められる空家等です。必要に応じて、助言・指導、勧告、命令、行政代執行などの措置がとられます。管理不全空家等と特定空家等では、建物の状態と行政がとれる措置が異なります。
所有者に求められるのは、自治体からの連絡を待たずに状態を把握し、必要な管理を行うことです。雨漏り、外壁の剥がれ、窓の破損、排水の詰まりなどを確認し、危険がある場合は建物へ無理に立ち入らず専門家に点検を依頼します。点検日、写真、修繕内容、連絡先を記録しておけば、その後の相談や見積もりにも役立ちます。
固定資産税の住宅用地特例はどう変わる?
「税額が6分の1」ではなく土地の課税標準の特例
住宅用地の特例では、住宅1戸あたり200㎡までの小規模住宅用地について、固定資産税の課税標準が6分の1になります。一般住宅用地の課税標準は3分の1です。これは土地に関する仕組みで、建物を含む固定資産税全体が一律に6分の1になるという意味ではありません。出典:国土交通省の住宅用地特例の説明。
管理不全空家等への「勧告」が特例除外につながる
市区町村長から勧告を受けた管理不全空家等や特定空家等の敷地は、住宅用地特例の適用対象から除外されます。空き家になったことや、指導を受けたことだけを理由に直ちに除外される制度ではありません。ただし、建物が住宅と認められない状態など、勧告以外の事情で特例の対象外となる場合もあります。
特例が外れると税負担が増える可能性がありますが、税額が必ず6倍になるとは限りません。評価額や負担調整などで実際の税額が変わるためです。解体後も住宅用地として扱われなくなる場合があるので、修繕、売却、解体の費用と税負担を自治体の税務担当に確認し、比較して判断しましょう。
空き家の管理・活用を支える制度
空家等管理活用支援法人に相談する
空家等管理活用支援法人は、市区町村が指定する法人で、所有者への相談対応、管理や活用に関する情報提供などを担います。地域に指定法人がある場合は、空き家を管理し続けるか、改修するか、売却や賃貸を検討するかを整理する相談先になります。具体的な業務や費用は法人ごとに確認が必要です。
2026年9月3日施行の改正では、指定の対象に商工会議所等の非営利法人を含められるようになりました。地域の担い手が参加しやすくなる変更ですが、すべての市区町村に支援法人が存在するわけではありません。まず所在地の空き家担当窓口で指定状況を確認してください。出典:内閣府の第16次一括法関連資料。
空家等活用促進区域と空き家バンク
空家等活用促進区域は、市区町村が空き家の活用を進める区域を定める制度です。一定の条件を満たす場合に建築基準法などに関する特例を活用できる仕組みがあります。ただし、区域内の空き家なら自由に用途変更できるわけではなく、個別の要件や手続きの確認が必要です。
自治体の空き家バンクは、売りたい・貸したい所有者と、住まいや事業拠点を探す人をつなぐ仕組みです。登録条件、仲介の有無、必要書類、建物の調査方法を確認しましょう。支援法人や空き家バンクの利用が、補助金や税制特例の適用を自動的に保証することはありません。
相続した空き家の売却と3,000万円特別控除
相続した一定の空き家を売却すると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。売却代金を3,000万円受け取れる制度ではなく、課税対象となる所得の計算上の控除です。制度の詳細は国税庁のタックスアンサーNo.3306で確認できます。
2024年1月1日以降の譲渡で、対象家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上の場合、控除上限は2,000万円です。相続人全体の人数だけで判断せず、その家屋・敷地を取得した相続人の数を確認します。
主な要件は、1981年5月31日以前の建築、区分所有建物でないこと、相続直前の居住状況、相続後に事業・貸付け・居住に使われていないことなどです。売却期限は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、制度の適用期間は2027年12月31日までです。売却代金1億円以下などの条件もあります。
一定の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊すなどの要件があり、2024年以降の譲渡では、売却後でも翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを終える方法が認められる場合があります。契約前に工事と証明書の準備を確認し、市区町村の確認書などを用意して確定申告を行います。ここで挙げたものは主な条件であり、適用判断は税務署や税理士へ相談してください。
2026年に確認したい補助金と登記制度
解体・改修の支援は所在地の市区町村で確認
国は、空き家対策総合支援事業などを通じて、地方公共団体による除却・活用や調査などを支えています。令和8年度の事業には、NPO・民間事業者等のモデル的な取組への支援も示されています。所有者が国へ直接申請すれば、どの空き家でも補助される制度ではありません。出典:令和8年度の事業概要。
個人所有者が使える補助の有無、対象工事、上限額、受付期間は自治体によって異なります。見積もりを取る段階で「空き家の解体」「改修」「耐震」「移住・定住」などの支援を調べ、申請前の契約や着工が認められるかを確認します。交付決定前に進めると対象外になる制度もあるため、予定を組む前に窓口へ相談することが大切です。
相続登記と住所・氏名の変更登記の期限
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続の開始と、その不動産の所有権を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請するのが基本です。施行前に取得を知った未登記の不動産は、原則として2027年3月31日までに対応が必要です。出典:法務省の相続登記の説明。
2026年4月1日からは、不動産所有者の住所・氏名等の変更登記も義務化されました。変更から2年以内が期限で、施行前の未登記の変更は2028年3月31日までに対応します。空き家を離れた所有者は、現在の住所と登記の住所が一致しているかも確認しましょう。手続きの詳細は法務省のQ&Aで案内されています。
建設会社が空き家対応を進めるポイントと建設DX
建設会社や設計事務所は、所有者の希望、建物の安全性、権利関係、予算を整理し、改修して使う案と解体する案を比較できるようにすることが重要です。税制のために解体を急ぐと、活用できた建物を失うこともあります。工事費だけでなく、維持管理や将来の使い方まで含めて説明しましょう。
- 所有者・共有者と相談窓口を確認し、既存図面や登記資料を整理する
- 建物の状態を調査し、写真と修繕履歴を残す
- 改修・売却・賃貸・解体の候補を、費用と活用見込みで比較する
- 税制と補助制度の条件を専門窓口で確認してから工程を決める
- 工事の見積もり、申請書類、点検記録を一元管理する
この情報整理は、建設DXを活かせる場面です。図面や写真のデータ化、建物ごとの点検記録の共有、数量や見積もり情報の整理により、担当者が変わっても経緯を追いやすくなります。必要に応じて既存図面や実測情報をBIMにまとめれば、改修範囲や部材の検討にも役立ちます。ただし、データ化だけで現地調査や構造・法令の確認を省略できるわけではありません。
関連情報として、建設DX支援、BIM活用支援をご覧ください。既存建物や建材を長く使う考え方は、サーキュラー建築の記事でも解説しています。
空き家の法改正・支援策に関するよくある質問
空き家になっただけで固定資産税は増えますか?
空き家になっただけで、直ちに住宅用地の特例が外れるわけではありません。管理不全空家等や特定空家等について市区町村長から勧告を受けると、敷地が特例の対象から除外されます。住宅としての状態などによって別途適用外となる場合もあるため、具体的な税額は自治体の税務担当に確認します。
空き家の新制度はすべて2026年に始まったのですか?
管理不全空家等、空家等管理活用支援法人、空家等活用促進区域は2023年12月13日施行の改正で導入されました。2026年4月には住所等変更登記が義務化され、同年9月には支援法人に指定できる法人の範囲が拡大されています。
空き家の解体やリフォームに補助金は使えますか?
所在地の市区町村が設ける制度により、解体や改修が補助対象になる場合があります。すべての空き家が対象になるわけではなく、建物の状態、活用方法、申請時期、予算などの条件が異なります。契約や着工の前に窓口へ確認してください。
相続した空き家は誰でも3,000万円控除を使えますか?
一定の要件を満たす場合に限られます。建築時期、相続前後の使用状況、売却期限、耐震改修または取壊しなどを確認する必要があります。対象の家屋と敷地を相続等で取得した相続人が3人以上の場合、2024年以降の譲渡では控除上限が2,000万円になります。
まとめ:管理と活用の方針を早めに決める
空き家問題の新制度は、危険な状態になる前の管理と、地域で建物を活かす取組を後押ししています。2026年には支援法人の対象拡大や住所等変更登記の義務化も進みました。所有者は建物の状態と登記を把握し、所在地の市区町村で相談先、補助制度、税務上の扱いを確認することが第一歩です。建設会社も、調査記録と制度の条件を整理して、実行できる活用・改修計画につなげましょう。
参考リンク・出典
以下の公式資料を2026年10月13日に確認しました。税制や補助事業、自治体の運用は更新されるため、手続き前に最新の案内を参照してください。

